エッセイ みどりの丘 〜くらしに「ありがとう」〜

副施設長 大塚美智子が綴ります

第2集発刊にあたって

4年後の平成32年は東京オリンピック?
いえいえ それはみどりの丘が開設10年目を迎える
記念すべき年です

その時をみなさんはどのように過ごされているでしょうか。

スタッフのみなさんは素敵な大人になってほしいと思います。
あまり若くない私は魅力的なシニアになっていたいです。

共に年を重ね いい時間を重ねていきたいと思います。
そしてご一緒に10年目のみどりの丘を見てみませんか。

副施設長 大塚

みどりの丘の建物

vol.01

最近の特養はどこもきれいな建物が多く
施設という位イメージは払拭されつつあります。

贅沢な空間、暖かな日差し、高い天井、自然を感じる木目
みどりの丘は本当に素敵な建物です。
来訪者は@「きれい」「ホテルみたい」「私も入りたい」
口々に話されます。
その言葉を聞いている利用者様もまんざらではないように
ニコニコされています。

きれいな建物は人を幸せにしてくれる・・・
この6年間いつも感じていることです。

建物が社会になる時

vol.02

みどりの丘はとびきりきれいな建物とお話ししましたが
これは建物の話しです。
どんなにきれいな建物でもそれだけでは意味がありません。
入居者様、ご家族、親戚や知人の方、郵便局、宅急便、業者の方、
病院の先生、ボランティアの皆様、私たちは働く者
人がいること、人の出入りがあること、人が暮らすこと
その時、建物は社会になります。
社会があるから、そこに生活があります。

施設に入ったことで社会から隔離されないように
日常生活が奪われてないように

あたりまえの生活の中にこそ ささやかな幸せがあると思います。

継続は力なり

vol.03

オープンして間もない頃
一人の男性が施設を訪ねて来ました。
隣のヨネッティーで盆踊りの練習をしているとのこと。
これがご縁で毎月第4土曜日に踊りを披露して頂き
なんと50回にもなります。

夢クラブさんも同じく代表の方が訪ねて来ました。
他の施設でボランティア活動をしていたがここが近くなので
活動したいと。その後毎週金曜日と第一月曜日に来て頂き
衣類の名前つけやボタンつけ、繕い物、手芸の手伝いなど
入居者様の衣類の繕いをどれだけして頂いたか・・・・

世の中捨てたものじゃありません。
こんな素敵な出会いがあり、ご縁がつづいているなんて
感謝で言葉もありません。

大切なこと

vol.04

みどりの丘では挨拶に力を入れています。
6年前のオープン時 集まったスタッフの多くは
介護の仕事が初めての人 社会人になることが初めてで
自信のない集団でした。
そんな私たちにできることは元気よく挨拶することでした。

「おはようございます。」と大きな声で言えば笑顔が帰ってきて
不安な気持ちは消えていきました。
「こんにちは」と元気よく言えば「よろしくね。」と
信頼されていることに気がつきました。

挨拶は自分を映す鏡であることに気がつきました。

これからも ずっと挨拶を通して
みなさんとつながっていければと思います。

施設で暮らすこと

vol.05

介護が必要になり施設に入ることを喜ぶ人は少ないです。
誰もが自宅で今まで通りの生活をしたいと願っています。
何らかの理由で介護が必要になり自宅での生活が難しくなった時
施設に入居しなくてはならないこともあります。

家でできること、できないこと、施設でできること、できないこと
家族ができること、できないこと、介護できること、できないこと

4Fのラウンジは窓がとびきり大きく音響効果は抜群
時には昭和歌謡の唄声が響く歌声喫茶に
時には華麗なフラダンスや琉球舞踊が見ることができる劇場に
時にはプロのサックスの演奏を聞くことができるステージに

施設の生活も捨てたものじゃない・・・
と思っている入居者の方も多いはずです。

「ありがとう」

vol.06

ありがとうの語源である「有難し」の意味は
「有ること」が「難しい」
すなわち「滅多にない」ことを意味します。
滅多にないようなありがたいことが
ありがとうの本当の意味です。
この施設には「ありがとう」の言葉をたくさん耳にします。
一番おっしゃって頂くのは入居者様から。
日々の生活をお手伝いする中で「ありがとうね。」
とよく耳にします。
決して滅多にないことをしているのではなく
当たり前のことで当たり前にやっているだけなのに・・・

介護の仕事を大変とか3Kとよく言われますが
感謝の言葉を頂ける素敵な仕事です。

「ありがとう」の言葉に励まされ勇気づけられている私たちです。

聞く・・・聴く

vol.07

仕事の中で話しを聞く時間がないと悩む
スタッフは多い・・・
食事、排せつ、入浴など生活に不可欠な介助に
追われて時間がない・・・もっともな話です。
これは施設に限らず家でも同じです。
毎日の生活の中で話しをきくことは
おきざりになりがちです。

何となく耳に入ってくる音や話は・・・・聞く
心から相手の話に耳を傾けることは・・・聴く

傾聴ボランティアさんは入居者様の話に耳を傾け
寄り添って頂ける貴重な存在です。

わり算ではなくたし算で

vol.08

みどりの丘には120名の方が入居されている大世帯です。
個別ケアと言われながら集団生活であることも否めません。

「一人はみんなのために。みんなは一人のために」
スポーツや仕事ではこう言われています。
しかし介護での世界では
○○様も ○○様も ○○様も みなさん一人ずつなのです。
それは1/120でもなく 1×120でもなく
1+1+1+1+1+1+1・・・・120なのです。

120名の方を一度にみることはできません。
介護スタッフには「居室担当」と言う宅割があり
一人のスタッフが少人数の方を担当しています。

一人はみんなのためではなく、みんなは一人のためではなく
一人一人を大切にしていくことが介護だと思います。
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